渡辺淳一名誉会長を悼む

2014年05月07日 06:41
 
 
 

日本アイスランド協会会長
脇田巧彦

日本アイスランド協会初代会長(1991~2006年)で、名誉会長(06年~)の渡辺淳一先生が4月30日、前立線がんのため、自宅(東京・世田谷区奥沢)で逝去された。享年80歳。
渡辺先生の逝去を悼み、6月21日~28日に予定していた協会主催のアイスランドツアーは延期することになりました。すでにエントリーしていた方々や旅程を組んでいただいたヴァイキング社様にはご理解を頂きました。
 
 渡辺淳一先生は、スポニチが音頭を取り1991年に日本アイスランド協会を設立した際、初代会長に就任していただいた。
 当方は事務局長として16年間仕え、2006年、渡辺先生の指名で2代目会長に推された縁でのお付き合いだった。来年、協会発足25周年目の節目を待たれずに逝かれ無念でならない。去る3月8日に年一度の協会総会の報告のため渋谷の事務所を訪ねたが「まだ自宅療養されています。食欲がなく体力が衰え、編集者とも体調の良い日に限って会っている状況です」と秘書の渋谷さん。そのため総会資料を郵送してほしいとの事で渋谷さんにお届けしたところ「先生は目を通されて、皆さんにくれぐれもよろしくお伝えくださいと言われました」と。
その後、10日に一度は電話でご機嫌伺いをし、亡くなる3日前の27日も「すみません。先生、会えない状態です」と渋谷さんの声が沈んでいた。
 渡辺先生とは様々な思い出がある。協会会長を引き受けられた理由は「ヴィグディス大統領が美しいからだよ」と、ユーモアを交えて話された。
BS朝日の開局記念2時間特別番組「渡辺淳一の世界」をスポニチテレビ(現スポニチクリエイツ)が制作した時、ニューヨーク、ボストン、アイスランド、ロンドン、京都へとプロデューサーとして同行。ハーバード大学で「失楽園」の心中をテーマに講演してもらいカメラに収めた。とても茶目っ気があり褒め上手でもあり、日経新聞に「愛の流刑地」を連載中のこと「脇ちゃん!明日、脇田刑事が登場するよ」と電話があった。翌朝確認したら脇田刑事が登場していて唖然とさせられた。
「男女小説は格闘技。描くのに体力がいる」が口ぐせ。直木賞の選考委員でもあったが「最近の男はダメだねぇ。文学でも女性上位時代だね」と残念がった。
アイスランドは2度訪問されたが、1回目の92年6月時には自作の「遠き落日」(松竹映画・三田佳子主演)の試写会をアイスランド大学で行い好評だった。映画やテレビ化された小説は数知れず、日本アイスランド協会の総会ではいつもノーギャラで講演するなど協会を最後まで支えていただいた。いつも協会のことを念頭に置かれ、良いことがあると目を細めて相好を崩される笑顔を忘れることが出来ない。渡辺会長を慕って協会に入会した多くの会員の方たちに何と言ってなぐさめることが出来るか、その言葉が見つからない。
今後、偲ぶ会が予定されていると聞いています。その時は、協会会員共々参列したいと思う。また、日本アイスランド協会でも渡辺先生を偲ぶ催しなどが出来ればと思っている。